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「RAFA MY STORY」 [本(その他)]

先日読んだ本の1つ、「RAFA MY STORY」
これは、映画「インビクタス~負けざるもの」の原作となる作品を書いた、
ジョン・カーリンと、ナダルとの共著ということになっています。
しかし、ナダルが口述したものや周辺の人たちが語ったことを、
カーリン氏が文章化しながら、読みやすく解説をしているというのが実際のところのようです。
負けざるものの原作は読んだことがないのですが、
映画はなかなか面白くて、そのもととなったネルソン・マンデラ氏の伝記も、
おそらくはよく書かれていたのだろうと思われます。
このナダルの自伝も、構成も上手く考えられていて、文章(翻訳ではあるけれど・・)も読みやすくて、
結構分厚い本であるにもかかわらず、一気に読んでしまいました。

2005年の全仏オープン決勝をみて、どこまでも諦めない姿に衝撃を受け、
それ以降、特にグランドスラムに関しては、ほとんどかかさず観てきました。
どんなピンチの場面でもあきらめず、どんなチャンスにも冷静で、
いつも闘争心あふれ、メンタル面の強さはぴか一。
そんなコートの中のイメージとは裏腹に、実際のナダルは、
暗闇や雷、犬さえも怖がる臆病な面や、まわりの人にも影響をうけやすい、
とてもナイーブな一面をもちあわせている、
不安・恐怖があるからこそ、それを押し隠し、
コートの中では強い自分になりきるようにいいきかせるのだという。
この本を読んでみて、これまで抱いていたイメージと随分と違う面がみえてきました。
叔父であり、コーチである、トニー・ナダルについても、
これまでのイメージを覆すようなところがあって、ちょっとびっくり。
まるで哲学者のような含蓄のある言葉を語る、いつも冷静なコーチというイメージだったのだけど、
この本を読むと、どうやらそれほどいつも冷静にいるわけでなく、
結構な短気で気まぐれな一面もあるのだとか。
ラファに対しては、将来のことを考えて、ラファのために・・・
ということには違いないのであるけれど、まわりの人から、
いじめではないかと思えるくらいの厳しさでラファに向かっていったトニーコーチ。
よくぞこの鬼コーチともいえるトニーに、ここまでついてきたものだと、
だからこその強さ、そして謙虚さなのだと、
改めて、考えさせられ、感心させられることがたくさんでした。



以下気になる箇所のメモ、感想など

トニーの言葉から  p61 
「彼は世界の中での自分の立場をわきまえている。誰もがそうあるべきだ。自分は偉大だと思っていても、世界はもっと大きいのだ。」

「すべてを手に入れた人物が他人に横柄に振舞うのは許せない。出世すればするほど、ますます他人に敬意を持って接するべきだ。・・・・・私も彼の両親も、優れたテニスプレーヤーになる以前に、優れた人物であれと常に言っている」


ナダルが、足の怪我のためテニスを離れていた後に、語った言葉から p136
「どの試合も、どの練習も、それが最後だと思ってプレーしなければならない」

初めて怪我によりテニスができなくなったとき、これまで手にしていたものの価値を改めて実感。
同時にアスリートとしての寿命の短さやいつそれがさらに短縮されるかもしれないと
認識するようになり、無駄にできる時間はないのだと思うようになったという。
そして、選手生命の終りを目の当たりにし、怖ろしい経験をしたことで、
精神的に強くなったのだとも語っているのです。
困難や苦労を乗り越え、テニスのできる幸せを噛みしめながら、
さらにエネルギーに変えていったのですね。


フェデラーとの世紀の対戦(2008年ウインブルドン決勝)
2セットオールで最終セットを迎える直前ナダルが考えていたことなど  p154
「第5セットが始まるのを椅子に座って待っている間、前の2セットを取られたことを嘆いたり、最後のタイブレークで5-2とリードしていたのに取られなかったことを引きずったりはしなかった。ダブルフォールトは終わったことだから忘れた。我慢とは受け入れることだ。物事を思い通りにしようとせず、あるがままに受け入れる。そして後ろを振り返るのではなく、前を見る。つまり自分の置かれている状況を把握し、冷静に考えることだ。」


全豪オープン優勝から学んだことについて、ナダルの言葉より   p199 
「・・・勝てるチャンスがどんなに小さくても、決してあきらめず、能力の限界まで自分を追い込み、運を試さなければならない。メルボルンでのあの日、これまでよりずっとはっきりと、試合に勝てるかどうかは心次第で、気持ちをしっかりと強く持っていれば、痛みも含めてどんな障害でも乗り越えられると分かった。心であらゆることを打ちまかせるのだ。」


この全豪オープン準決勝は、同郷のベルダスコと実に5時間を超す試合をし、
心身ともに疲れ果て、めまいと体の痛みで、とても決勝戦を戦えるような状態ではなかったという。
トニーコーチの言葉によって、気持ちを奮い立たせ、決勝に向かったのだという。
そして、みごと優勝!誰もがナダルのことを超人と感じた瞬間でした。
その舞台の裏には、こんなやりとり、ナダル自身の心の葛藤があったのですね。


両親の離婚、相次ぐ怪我による戦線離脱を余儀なくされ、辛い2009年を送り、
その年が終りに近づいたころ、トニーがナダルに言った言葉より  p215
「もう十分だろう。・・・問題を抱えながらも前に進み続けている人は沢山いる。自分だけが例外だとでも思っているのか?」


このころ、メディアでは、ナダルの完全復帰は無理だろうと引退説まで囁かれるようになっていました。
しかし逆にこのことで刺激を受けたナダルは、復帰して引退説を一蹴したいと思うようになり、
そんなときに向けられたトニーコーチのこの言葉、まだ膝の痛みは完全に消えていなかったけれど、
2010年最初のグランドスラムである全豪オープンに向け、フルトレーニングを開始したのでした。
全豪こそは、膝の悪化に寄り途中棄権となってしまったけれど、その後の全仏、ウインブルドン、全米
そろって優勝し、生涯グランドスラムを達成したことは、みなさま(おそらくは)ご存知の通り。


生涯グランドスラムを達成するような一流テニスプレーヤーが、
試合中にどんなことを考えているのか、その心の中の葛藤が生々しく語られているということでは、
テニスをする人にとって、この本はとても興味深いものと言えるのだろう。
もしかしたらテニスに限らず、どのスポーツにも通じるものがあるのかもしれない、そういう意味では
他スポーツををする人にとっても同じく、興味深いものであるのかもしれない。
そして、スポーツをしない人にとってもまた、ナダルや彼の周辺の人たちの生き方からは、
得られるものが多いのではないかと思うのです。
どんなに出世しても、奢らず謙虚に、いつもと変わらない生活を。
あきらめない、努力を続けることの大切さ・・・
そして暖かい家庭というものが子どもの成長過程において
いかに大切で大きな影響を及ぼすものであるのか。
本当の強さとは、優しさとは何か・・・そんなことも考えさせられてくるようであり、
この本もまた、永久保存の一冊になりそうです。


ラファエル・ナダル 自伝

ラファエル・ナダル 自伝

  • 作者: ラファエル・ナダル
  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2011/09/30
  • メディア: 単行本



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